爆裂BOX

ヴェノム 毒蛇男の恐怖の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ヴェノム 毒蛇男の恐怖(2005年製作の映画)
3.2
ブードゥーの伝統が色濃く残るルイジアナの片田舎で、ブードゥー野呪術師が乗る車とレッカー車が事故を起こし、レッカー車の運転手レイ共々死んでしまう。しかし。呪術師の持つトランクに封じられていた悪霊蛇が霊に憑りつき凶暴なゾンビへと姿を変え…というストーリー。
マーベルのアイツではなく、悪霊の宿る蛇に噛まれて毒蛇男と化した男を描いたオカルト風味のスラッシャーです。蛇男といっても見た目はゾンビで、蛇の様になるわけではなかったです。
ブードゥー呪術を絡めてオカルト色を出してますが、基本はティーン・スラッシャー・ホラーです。元々はテレビゲームが原作になってるようで、本作に登場するレイ・ソーヤーもそのゲームの悪役のようですね。
しかしケヴィン・ウィリアムソンとジム・ギレスピーの「ラストサマー」コンビが制作しているので突出したものはないながらも安定したつくりになっています。
殺人鬼に魔術で対抗しようとしたり、結界で家に入れない為車で牽引して家ごと壊したりなど盛り上げどころも用意されていて楽しめます。自分達が助かる為に殺されたレイと血のつながりがある友人の死体を躊躇なく呪術人形にしようとする主人公は結構なサイコパスだと思います。
その友人ショーンがレイに捨てられた子供であるという設定はドラマ的にはうまく使えそうだったけど、ドラマ部分で活かされることはなかったですね。アッサリ殺されますし。
ゾンビと化したレイはレッカー車に乗り、フック付きのチェーンやバールを使って攻撃してきますが、レイティングを意識してかゴア描写をオフスクリーンで処理することが多いのでゴア的な見せ場はないですね。前述の様に蛇男的な要素は無いので(体から蛇出したりはしますが)、どうせなら攻撃受けるたびに皮膚が剥がれて蛇になっていったりしたら蛇男要素出て来て面白くなったのになぁと思いましたね。
彼氏の最期の自己犠牲的行動にはちょっと感動。
個人的には主人公よりも水着姿も披露する主人公の親友役のローラ・ラムジーの方が可愛くて魅力的でした。
製作のケヴィン・ウィリアムソンは「フレディやジェイソン、マイケルの様な路線の新しい悪役を作りたかった」とコメントしてますが、正直そこまで個性や魅力のある殺人鬼キャラではなかったですね。ゾンビとはいい迫力ある腐乱メイクでもないですし。
ジメジメした沼地などのロケ地は雰囲気出てましたね。
本作ならでは!という部分はないオーソドックスなライトなティーンスラッシャーですが、未公開スラッシャーホラーとしては充分良作でしょう。