爆裂BOX

ダークサイド 悪魔の力を手に入れた男の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.3
ヒーローに憧れるさえない会社員ノーマンは、ある日、同僚のビクターが超能力を持っている事に気づく。彼をスーパーヒーローにしようと、ノーマンは力を引き出す為のコーチを申し出るが…というストーリー。
超能力を持った男をヒーローにしようとしたアメコミオタクの青年が結果的に最凶のヴィランを誕生させてしまうSFサスペンススリラーです。
前半は冴えないアメコミオタク青年ノーマンがふとしたきっかけで自分とは対照的な同僚ビクターが超能力を持っている事に気づき、コーチを申し出て一度は断られるも友人を事故から救えなかったことからコーチを頼んできたビクターを特訓して超能力を開花させる様子がこちょっとコミカルタッチに描かれます。初めはビクターの持つ超能力も落ちるカップを瞬時に受け止めたり、会社の草野球でホームラン打ったりとそんなに大したものではないですが、特訓を積むにつれてドンドンパワーアップしていきます。と言っても手を使わずにドアを開けたり人を突き飛ばしたり、い手を動けなくさせるなど画的には地味なものですね。ビール瓶並べてそれを動かしたり、物を投げつけてそれを止めたりする訓練シーンも妙に楽しい。
後半からはノーマンが想像したようなヒーローの資質を持ってなく、思いやりの心もなかったビクターが力に溺れ、自分の欲望のまま力を使い始め、ホラータッチになっていきます。まあ、力があることわかる前から体育会系の嫌な奴な感じはありましたが、チンピラを叩きのめす所で一気にサディスティックな面が出てきましたね。また、本人も言ってるけど世界征服とかが目的じゃなく、銀行の口座から金を盗み出して遠くの地で好きに暮らすという目的が妙にリアル感ありました。この「ヒーローを育てようとしたつもりがヴィランを生み出してしまった」という設定は面白いですね。しかしビクターは勿論知ったこっちゃないだろうけど、ノーマンも「大いなる力には大いなる責任が伴う」という格言知らなかったのかな。ノーマンも力強化する特訓と同時に大きな力を持つことに対する心構えも説くべきだったな。いきなりあんな強力な力手に入れたら大抵の人は暴走するでしょ。まあいてもビクターは馬の耳に念仏で聞いちゃいないかもしれませんが。
ダニエル・ボールドウィンがノーマンが足繫く通うコミック店の店主役で出演してます。初めはノーマンの事小馬鹿にしながらも、ノーマンがマンが書いてると思ってアドバイスしてくれる優しい所良いですね。このアドバイスもノーマンが「ハッ!」となる事多いし。それだけに後半あんなことになるとは…
ヒロイン格の女性が結構強かですが、あんまり存在意義なかったような…
後半でノーマンが自作のヒーローコスチュームに身を包んでヒーローになろうとする展開も悪くないですね。ジャケットのようなものじゃなくダサさ極まれりという物ですが(笑)そりゃビクターにも突っ返されるわ。
ラストはっホラー的な後味の悪い物になってますね。続編意識してるのかな?ノーマンの言う通り間違いなくノーマン殺されちゃうでしょうね~。
自主製作の様な安っぽさ漂ってますし、役者の演技もいいとは言えないし、監督の力量が設定も面白さに追いついてない印象もありますが、TWA配給の中では楽しめる作品ではないかと思います。