エヌオー

ル・アーヴルの靴みがきのエヌオーのレビュー・感想・評価

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)
4.5
冒頭の主人公たちふたりが直立不動で佇むショットから、ああとため息をつく暇もなく、手錠をしたリーゼントの男が現れて、靴磨きを中断しカメラからアウトした後、銃撃音と叫び声だけで事の次第を告げる。本編の緩やかな物語と全く接続しない異様なまでのサスペンス。ああ、これぞカウリスマキ、と身悶えしてしまう。 影がさす屋内のショットの素晴らしさはもちろん間違い無いのだが、自然光の屋外でのショットがこれまた素晴らしい。巨大なタンカーが停泊する港を歩く主人公やアーチを犬と一緒に走る移民の少年などなど。 派手な画面なんてものとは一切無縁な、具体性だけが刻印された過激で過剰な映画の豊かさ。 そう、カウリスマキは決して日和ったりはしない。
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