開明獣

ル・アーヴルの靴みがきの開明獣のレビュー・感想・評価

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)
5.0
アキ・カウリスマキ・マラソン🏃は終わらない😌

12/2から、渋谷ユーロ・スペースにて映画祭「移民とわたしたち」が開催される。その上映作品の一本が本作🎬実は板📀を持っているので、それ機に再鑑賞してみた😌

アフリカからロンドンを目指してコンテナに隠れて不法入国してきた一団が、寄港地ル・アーヴルの街で足止めを食う。警察にコンテナは見つかったが、その集団の中から少年が1人逃げ出す💨

マルセルは靴磨きで日々の生業を立てている初老の男だ。貧しいが、アジア系の同業者のチャンや、酒場の女主人クレア、その娘でパン屋のイヴェット、八百屋の主人ら、同じく貧しくも暖かい人たちに囲まれてなんとか暮らしている。マルセルの妻は外国人で、重い病気にかかり入院してしまう。入院中に、マルセルは偶然、逃げ出した少年イドリッサと出会い彼を匿う。全県を挙げて少年を保護しようとする警察当局。マルセルは、イドリッサを守り切れるのだろうか?

仏喜劇の名匠、ピエール・エックスが心優しい医師薬で出演してたり、「コントラクト・キラー」で主演を務めた、フランスの名優ジャン・ピエール=レオが友情出演的に端役で出てたり、粋なキャストに加えて、カウリスマキ作品の常連、カティ・オウティネンと、エリック・サロも出演。また、主演のアンドレ・ウィルムは、カウリスマキ初のフランスを舞台にした作品にも出演しており、カウリスマキ・ファミリーぶりは健在👪

元々、社会派ドラマが多かったカウリスマキが、本格的に移民問題を取り上げたのがこの作品。外国人を妻に持つ、貧しいが心根の優しいマルセルが、哀しい眼差しをした聡明な難民の少年を助けていく。そこに確たる理由はない。ただ、弱いものを助けたい。虐げられしものを救いたい、という美しい無償の心があるのみだ😌

開明獣は、昔、ブルターニュとノルマンディー地方をドライブ旅行したことがあり、実はル・アーヴルに立ち寄ったことがある。その街の港こそが、クロード・モネが「印象・日の出」を描いた場所だったからだ。とても懐かしい思い出と相まって、本作にも肩入れしてしまう👍

以前にカウリスマキ作品の中では4位としていたが、再鑑賞で1位に急浮上⤴️前に観た時は、あまりにも出来過ぎなシナリオだと感じたのが、今回は、これ以外の展開はあり得ないと考え直したからだ😊

劇中に出てくるカルバドスとは、林檎から作られる蒸留酒。いわば、りんごのブランデーで、香り高くアルコール度数も高い。旅行時に地元の酒屋で手に入れた、1950年ものの古酒をいまだに大事にちびちび飲んでいるのだが、本作はその古酒にも劣らぬ、えも言われぬ味わい深き傑作🥃
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