このレビューはネタバレを含みます
カウリスマキが提示する「優しさ」のレベルは、やっぱりとてつもなく高い。けれどもそれらは必ず現実と地続きのものとして描かれている。『希望のかなた』然り本作然り、カウリスマキの作品に惹かれる理由はここにあると思う。
例えば末尾に"!"が付くような激しい台詞、言葉は決してない。物凄く静かな作品だけど、背後には「キミの立場がなんだ!職業がなんだ!経済力がなんだ!世論がなんだ!困っているヒトがいるんだろう?さあ、助けようじゃないか!」そういう純真で、燃え盛る炎のようなメッセージが見える。人間が、人間に手を差し伸べる。その情景にここまで心を動かされるということにハッとする。現実世界に対してかなり痛いところを突いてきていると思う。