権威社会の脆弱さが今にもぶっ倒れそうなヤニングスとして表象され、アイデンティティを剥奪された老人は制服に生気を吸い取られる。
字幕の不要性に加え噂(声)の伝達を表す口元/耳元への接写は、字幕の省略…
エモーショナルな時間(瞬間ではない)を、絶対に映す凄さ。そういえば、会話の字幕ないけど物語は理解できる。
夜が明けたアパートの個々の窓から人が出たりするショット、『フレンチ・ディスパッチ』にまんまオ…
素晴らしい。カメラは冷徹に落ちぶれた老人の姿を客観的に捉えるが、他方でその内面もだ、また主観ショットで捉える皮肉。制服という立場によって老人に力を与える社会が、老人から制服を剥ぎ取ることで奈落へと落…
>>続きを読む孤独に最後を迎える老人の末路を、サイレントかつほとんど字幕なしで描いている。
ドイツ表現主義的な悪夢映像が老人を襲う場面は印象深いが、それ以上に写実的な映像で突きつけられる現実の方が本作は恐ろしい…
すごいなこの結末。映画という虚構を最大限に利用したメタ構造は強烈な皮肉でしかないし、ある意味社会批判でもあるし、エミール・ヤニングスが益々哀れに見えてくる。いまは時々見かける手法だがこの『最後の人』…
>>続きを読む制服を奪われたホテルの老ポーターと露骨な権威主義。メリーゴーラウンドのように光り輝く回転扉が一転して運命の輪のように掌を返し、ポーターは薄暗い地下トイレに追いやられる。惨めなヤニングスの精神を代弁す…
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