櫻イミト

最後の人の櫻イミトのレビュー・感想・評価

最後の人(1924年製作の映画)
3.5
ムルナウ監督が「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922)と「サンライズ」(1927)の間に制作したドイツ時代の代表作。終盤の注釈以外に字幕なし(新聞記事が2度出てくるためその部分だけ日本語字幕あり)。脚本は「カリガリ博士」(1920)のカール・マイヤー。

ベルリンの豪華ホテルの恰幅の良いドアマンが、寄る年波に勝てず支配人から地下のトイレの掃除人への格下げを申し渡される。耐えきれない彼はドアマンの制服を盗み出すのだが。。。

サイレント史上、初めて字幕なしで評価された作品だけあって、映像が素晴らしい。特殊効果撮影や表現主義的な美術は見ごたえがある。ラストはどう受け止めたらよいのか・・・いかにもとってつけたような描き方がタイトルも相まって含みと深みを持たせている。

※本作も従来の日本語版DVDはひどい映像で、修復版を観ないと良さが伝わらない

※本格デビュー前のヒッチコック監督が本作の撮影現場に立ち会い撮影と美術に衝撃を受け大きな影響を受けたことでも知られている。
櫻イミト

櫻イミト