しげのかいり

最後の人のしげのかいりのレビュー・感想・評価

最後の人(1924年製作の映画)
4.9
素晴らしい。カメラは冷徹に落ちぶれた老人の姿を客観的に捉えるが、他方でその内面もだ、また主観ショットで捉える皮肉。制服という立場によって老人に力を与える社会が、老人から制服を剥ぎ取ることで奈落へと落とすという両義性。他者こそ地獄であり、徹底して孤独であることを暗示する扉はルビッチとは違って幸福ではなく絶望を生む。所詮は変わりはいるという熾烈な現実をここまで徹底的に映像で描いた作品はない。