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救命艇の一人旅のレビュー・感想・評価

救命艇(1944年製作の映画)
4.0
アルフレッド・ヒッチコック監督作。

サスペンス映画の巨匠:アルフレッド・ヒッチコックが『怒りの葡萄』(1940)の原作者であるジョン・スタインベックの小説を翻案映画化した1944年制作の心理サスペンスです。主演はタルーラ・バンクヘッド。

二次大戦最中、大西洋でナチス・ドイツの潜水艦Uボートに撃沈された客船から脱出した6名の男女が一艇の救命艇に辿り着くが、そこへ連合国軍によって撃沈されたUボートの残兵が加わったことで敵・味方が呉越同舟の状態となり、人々は次第に疑心暗鬼に陥っていく―という、ある種の“密室心理サスペンス”で、大西洋のど真ん中で運命共同体と化した男女7名の心理の交錯とそれぞれの運命が描き出されます。

戦時&救命艇上という極限状況下において露わになる人間の本質をサスペンスフルに見つめた群像心理サスペンスであり、謎めいたドイツ残兵の存在が画面に緊張感を与え続けていますし、嵐との遭遇シーンやミニチュアでの特撮を採り入れたクライマックスの脱出シークエンスが迫真の臨場感を生んでいます。
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