福福吉吉

救命艇の福福吉吉のレビュー・感想・評価

救命艇(1944年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
第二次世界大戦中、ドイツ軍の魚雷で破壊された船から脱出した生存者たちが救命艇に辿り着く。それぞれが不安を抱く中、救命艇が彷徨っていたところに1人のドイツ兵が流れ着く。生存者たちはこのドイツ兵の扱いに紛糾しながらも救命艇は進んでいく。

◆感想◆
一隻の救命艇を舞台に辿り着いた人々のそれぞれの感情や思惑がぶつかり合う姿を描いた作品となっており、救命艇という場所のみで描かれるにもかかわらず、変化に富んだ展開に興味が惹かれるようになっていて、最後まで楽しく観ることができました。

救命艇に辿り着いた人々は人種や職種など様々で、それぞれ個性的に描かれていて、会話劇の中でストーリーに上手く緩急がつくようになっていて、観ていて作品の中に入り込めました。

キー・パーソンとなるドイツ兵は一見、温和な雰囲気を醸し出しているのですが、生存者たちの中では彼を殺すべきか否か対立するようになります。しかし、救命艇の中で生き残るための術に一番長けているのがドイツ兵という皮肉な状況が、少しずつ彼を信用せざるを得ない方向へ進むようになっていて、ストーリー展開の巧さを感じました。

会話劇だけでこれだけ面白いものができるという凄みを感じる作品でした。とても面白かったです。

鑑賞日:2023年11月7日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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