たけちゃん

救命艇のたけちゃんのレビュー・感想・評価

救命艇(1944年製作の映画)
4.0
彼らだけが答えを知っているのよ。


アルフレッド・ヒッチコック監督 1944年製作
主演タルーラ・バンクヘッド


シリーズ「ヒッチコック作品巡りの旅」
今回は少し寄り道です。

今日は「終戦記念日」ですので、ヒッチコック作品で、戦争を描いたものを取り上げたいと思います。
前二作も1942年の製作なので、戦時色は出ていましたが、今回は1944年という大戦終盤での作品。
また、個人的に、ずっと観たいと思っていながら未見だったという「救命艇」を選びました。ユーネクストにあったんだよね~(ˆωˆ )フフフ…アリガト


この映画は、1993年にリメイクされて、宇宙船からの脱出ポッドでのシチュエーションとなっています(「ライフポッド 」という題。なんと、レビュー数が5本)Σ(・ω・ノ)ノ!
この映画は知っていましたが、残念ながら観てはいなくて、ずっと気になっていました。絶対、僕が好きな話ですからね。また、そのオリジナルがヒッチコックだというのも知っていましたし。
ところが、そのオリジナルのヒッチコック盤も未見で、チャンスを待っていました!
今回、ようやく観られて、嬉しいです( ˘ ˘ )ウンウン





さて、映画です。
実に面白かったです。
いわゆるワンシチュエーションもの。
よく、これで90分もつよね。
本当に凄い!

オープニングが素晴らしいですね。
煙突のアップから始まり、舞台は客船かな?と思う。
すると、クレジットが終わったところで、なんと煙突が沈んでいくんです。
そこから流れてくる残留物。
上手いなぁ!
お手本のような展開ですよね。


ざっくりストーリーを説明すると、ドイツの潜水艦に撃沈された客船の生き残りが1人、また1人と救命艇に助けられる。そんなところに、1人のドイツ人が乗り込んでくる。実は、彼は自分たちを沈没させた潜水艦の生き残りだった。果たして、救命艇に乗る者たちの運命は……という感じです。


1艘の救命艇に9人の生存者
ジャーナリストのコニー
最初に乗ってくるエンジニアのコバック
ダンサーで負傷しているガス
操船担当のスタンリー
看護士のアリス
富豪のリット
赤ちゃんを抱いたヒギンス夫人
黒人のジョー
そして、ドイツ兵

それぞれの置かれている境遇と立場が絶妙で。
単純にサバイバルものとしても面白いのに、そこに敵であるドイツ兵が1人加わるんですからね。彼をどうするかで意見が分かれるなど、本当によくできている。
これは原作を書いたジョン・スタインベックを褒めるべきですよね。さすがでした( •̀ω•́ )و✧


あと、この映画、劇伴がないんです。
前回レビューした「疑惑の影」は、あれほど音楽で盛り上げていたのに、今作は波の音や風の音ばかり。
それが遭難した生存者の置かれている状況を、実に上手く僕らに理解させます。上手いなぁ!


最初は思い思いの考えがあり、"民主的"に決定されていたものの、次第にその考えは捨てられ、一方向に進んでいく様子が見事に描かれています。
そして、迎えるラスト。
大衆が戦争へと向かっていく流れが実に分かりやすい。

最後にドイツ兵の取る行動とか、ちょっと納得行かないところもあるんですが、それでも、疑心暗鬼な状況を見事に作り出すヒッチコック監督はさすがでした。
ナチスの描き方とか一方的で、戦時下でのプロパガンダ映画と言われますが、戦争に対してはシニカルな感じで、戦意高揚とは違う印象を受けました。
面白かったです( •̀ω•́ )و✧






【おまけ:ヒッチコックを探せ!】
今回は無理😣
絶対、分からないから(笑)
僕もネタバレサイト、見ちゃいました(*^-^*)ゞテヘヘ
海に死体で浮かんでるかとも思ったけど、まさかの新聞の広告とは!分かる訳がない……( ¯−¯ )フッ