トニー・ガトリフ監督が自身のルーツであるロマをテーマに描く。インドからはじまり、スロヴァキア、トルコ、ハンガリー、エジプト、南フランス、そしてスペインへ。
音楽と踊りを中心に、その土地土地のロマの暮らしぶりを映し出し、千年のロマの歴史が現代に甦る。ロマの資料としても貴重な作品。
ストーリーは特にない。ドキュメンタリーではないけれど、まるでドキュメンタリーのように説明も台詞もない。
土地によってロマの衣装や馬車のカタチ、移動人数も違ったり、奏でる楽器や踊りも全然違う。
裸足で沙漠を行くロマ、アウシュビッツを嘆く歌を唄うロマ、腕に5ケタの数字が刻まれたロマ、花売りをするロマ、木の上で暮らすロマ、レストランでギターを奏でるロマ、街角でフラメンコを踊るロマ…。虐げられながらも音楽と踊りとともにたくましく生きるロマたちの姿に心を打たれる。
「僕のスウィング」に出ていたギタリストのチャボロ・シュミットも出演。ラストのフラメンコカンテのラ・カイータの歌には痺れました。
ラッチョ・ドローム=よい旅を
各地の風景を見ているだけでも旅行気分を味わえる。