このレビューはネタバレを含みます
入り組んだ話。南米ナチ残党狩りの最初期のものか?
顔も思い出せない妻に替わって復讐するため、あちこちつついてははめられ、殴られる。最後は勢い余ったかのように殴り殺す。悲哀と徒労が張り付いたパウエルのひげはどんどん濃くなっていく。
黒幕は顔も知らない男なのだが、最後に出てくるときはそれなりに説得力のある顔。それに比べると女性陣が弱い。サロンの婦人は画面に美しく映えるのに、セリフも演技も硬い。仇の娘に至ってはなんの役なのだ?
もとの脚本は共産主義者ウェクスレーが書いた。自分をサディスティックに虐待した検察官をアルゼンチンまで追う話。ムッソリーニにすり寄るペロン政権へのファシズム批判の長広舌があれこれあったらしいが、パクストンはただのマンハントに変更。この変更がドミトリクとスコットの党員除籍処分に発展する。