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ヴェンジェンス/報仇のkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

ヴェンジェンス/報仇(1970年製作の映画)
3.6
妻の不倫相手に殺された兄ユイロウ(ティ・ロン)の仇を討つ弟シァオロウ(デヴィッド・チャン)。『男たちの挽歌』ではどうしてもチョウ・ユンファとレスリー・チャンに注目が集まりがちで、主役なのに「じゃないほう俳優」で蔑ろにされてきたティ・ロンを誰かが救済してあげなければと思い鑑賞。そんなティ・ロンが24歳の時に出演した出世作。

茶屋で斧やナタを持った何十人もの敵を相手にたった1人で戦うティ・ロン。このどこかで見たことある風景は『酔拳2』でジャッキーもやっていた。この時のジャッキーはティ・ロンの息子役、歳は8歳しか違わないのにね、ここでも若干蔑ろにされている。

『ヴェンジャンス』のティ・ロンは腹に斧が刺さった状態で血まみれになりながら戦い、両目を剣で刺される壮絶な死に様はまるでホラー映画のグロ描写。

ユイロウが京劇役者ということもあって、ことあるごとに京劇シーンがフラッシュバック。兄の仇を討つシャオロウは京劇舞台の天井で敵を蹴り殺し絞め殺し、アジトに乗り込みナタでバッサバッサと手下どもを大虐殺する様もスラッシャー映画のよう。

これもザコキャラ俳優が常に血糊の入った袋を隠し持ち、剣で刺されたら大量に血が吹き出すという演出で、当時としてはこれまでの古い武侠映画などとは違って新しかったからとのこと。

ラストの洋館内客間でデヴィッド・チャンがシャンデリアにぶら下がり振り子の勢いで2階へ着地するのは『プロジェクトA』でもやってる香港伝統芸でした。そしてザコキャラの1人に『酔拳』に出てきた棒のオッサンを発見。


監督のチャン・チェは友情・兄弟愛・男の死に様をスローモーションで描き、香港でアクションを美しく撮った初の映画監督で、ジョン・ウー監督はサム・ペキンパーに続きチャン・チェ監督の映画にも多大な影響を受けたと言っていた。

昔の香港映画恒例のハリウッド映画サントラ無断使用案件に関しては、劇伴が『女王陛下の007』のイントロを丸パクリ、でもちょっとだけアレンジしてるけどね。まぁいつものようにギリでアウトです。