Ricola

13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティのRicolaのレビュー・感想・評価

3.6
13歳。背伸びをして大人の世界に憧れ始めるお年頃。
こういう大人になりたい、そんな理想や夢は誰しもが抱くものだろう。
だけど理想を追い求めるあまりに、自分自身や本当に大切な人やものを見失ってしまうこともある。


13歳の誕生日パーティーで憧れの大人の女性になりたいと願ったジェナは、目を覚ますとすっかり30歳のバリキャリになっていた!自分の夢が全て実現されていると思ったが、彼女はそこで本当に大切なことを見つけ出す。


ジェナは見た目はどう考えても大人だが、13歳の女の子なノリや話し方などから少女にしか見えなくなってくる。
同じマンションに住む「同い年」の子と仲良くなって、同じ視点で同じテンションで話しているのがかわいい。
「同世代」の友達のパジャマパーティーにも、見た目年齢の違和感なくすっかり馴染んで参加しているのがまたかわいすぎ。

それ以外の場面においても、キャラクターもののキラキラなファイルで仕事の資料をまとめているのとか、ワゴンで買ったアイスクリームを無邪気に頬張ったり、高級店でショッピングを楽しむあまりにカードや荷物を忘れるなど、憧れていた世界を目いっぱい楽しむ姿はまさに13歳の少女である。

こうして見ると、13歳のジェナが夢見ていたものが全て手に入ったようだが、彼女の見落としていたものが現実問題として浮かび上がってくる。
本来の30歳のジェナの実態が、彼女の同僚や上司、彼氏などからうかがえるのだ。
その姿は果たして少女時代のジェナが望んでいたものだったのだろうか。

一見ティーン向けの作品だが、むしろ大人がキュンキュンしたり懐かしく思ったり人生や人間関係について考えさせられる類いの作品なのだ。

彼女の理想の世界と彼女が心から幸せになれる世界は、多少違うかもしれない。
理想や夢を全て叶えることよりも大事なことがあるのだと、私自身も自分を見つめ直す契機となった。
Ricola

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