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ワイルド・ビルのHKのレビュー・感想・評価

ワイルド・ビル(1995年製作の映画)
3.7
ワイルド・ビル・ヒコックとカラミティ・ジェーンの出る映画、その3。
原題もズバリ“Wild Bill”。
回想シーンも含め、最後の町デッドウッドで全盛期を過ぎたヒコックの“デッドマンズ・ハンド”で有名な最後のポーカーまでが描かれます。

ウォルター・ヒルの後期低迷期の作品群の中にあって個人的にはけっこう好きな作品です。
ヒコックをジェフ・ブリッジス、ジェーンをエレン・バーキンが演じ、他にもヒル監督と縁のあるダイアン・レインやジョン・ハート、ブルース・ダーンらが出演。
ヒコックの友人でもあったバッファロー・ビル・コディの役でキース・キャラダインも1シーン出演。

ヒル監督の西部劇好きはジャンルを問わず全ての作品から滲み出ていますが、いかんせん思い入れが強すぎるせいか、純正の西部劇を撮ろうとすると『ロング・ライダース』のように敬愛するペキンパーのモノマネになったり、『ジェロニモ』のように地味すぎて記憶に残らなかったりしますが、本作はなかなかいい塩梅の西部の伝説を作り上げたと思います。
評価は低いですけど。

『平原児』や『カラミティ・ジェーン』のヒコックは実物の写真と違い、ヒゲも無ければ長髪でもない点がモノ足りませんでしたが、ブリッジス演じるヒゲと長髪のヒコックはメチャクチャ様になっています。
ジェーンも他の映画ではみんな美人すぎますが、バーキンのジェーンが一番本人に雰囲気が近いんじゃないでしょうか。

『平原児』でゲーリー・クーパー演じるヒコックはジェーンにキスされる度に口を拭い、なんで拭うの!となじられますが、ブリッジスのヒコックは思わず口を拭った後で「擦りこんだのさ」と弁解します。
また、『平原児』でデッドウッドの酒場に登場するカクテルの自動シェイカー(自動といってもハンドルを手で回すので手動?)と全く同じものが本作でも登場するなどオマージュも散見されます。

近年パッとしないウォルター・ヒルもまだまだもうひと踏ん張りして欲しいところ。
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