悪魔の毒々クチビル

少林寺怒りの鉄拳の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

少林寺怒りの鉄拳(1977年製作の映画)
3.0
南無阿弥陀仏

叔父の仇討ちの為、少林寺で修行したサモ・ハンが下山して闘うお話。


サモ・ハンが主演だけでなく今作で初監督にも挑戦した作品です。
序盤のコミカルな音楽と共に組み手をしたり、雑用をサボったりと如何にも"らしい"雰囲気に溢れているなぁと、この頃は思っていました。
しかしながらこちら、相当な胸糞ストーリーなんです。
修行も早々に済ませ下山したサモ・ハンを待っていたのは、その地を牛耳る満州人による残虐な支配。あ、因みに叔父を殺したのも満州人です。

特に凄惨なのはとある娘がレイプされるシーン。裸も下以外しっかり映す上に、無駄に長い。そしてよりにもよって母親の誕生日に犯されてしまった娘は絶望のあまり、自ら命を絶ってしまう……というゴリゴリの鬱展開で逆によくオープニングであんな愉しげな曲流せたなと驚愕してしまいました。

それでまぁ、自分を少林寺へと導いてくれた師匠の頼みでサモ・ハンが自殺した娘の兄を始めとした面々に武術を教えていく訳ですが、そこからちょっと風俗行ってまたコメディパートもちょこっと復活させる節操の無さよ。
サモ・ハン含め周りも結構コメディ向きのキャラが多かったので、シンプルに笑える造りの方が良かったのではと思いますが、そこは彼なりに伝えたいものがあったのでしょうか。

終盤はとうとう満州人の逆ギレによって仲間まで皆殺しにされたサモ・ハンと師匠が、敵の元へ乗り込んで大暴れします。
ここのアクション自体は二人が各々戦ったり、タッグ組んで戦ったりと、見所が多いシーンになっていてとても良かったです。
敵を仕留める度に「南無阿弥陀仏」と唱える師匠が地味にサモ・ハンを食う勢いでした。
なのでラストバトルは満足いく出来だったんだけど、そこに至る迄がかなり悲惨なのでどうにもスカッとしきれない所がありました。

まさかこんな作品を撮っていたとは。
アクションは良いけど、気軽に勧められない作品でした。キャストはこういう映画好きな人には割と刺さるっぽいようで。
そんで観終わってから気付いたけど、結局叔父さんの仇討ってねぇ!!!!