長尺の史劇だけど複雑に語られているわけではないので意外にサラっと観れた。
19世紀のバイエルン国王ルートヴィヒ二世の即位から没落して死ぬまでが描かれている。
イタリアの貴族ヴィスコンティ家のルキノ・ヴィスコンティ(本流ではないにしても)が描いているという時点で限りなく本物に近い。
ワーグナーのパトロンだったりノイシュヴァンシュタイン城を建てたりその金遣いの荒さで没落していったルートヴィヒ。この作品では描かれていないがオーストリア=ハンガリー帝国のハプスブルク家にも美術品や骨董品の収集癖があった。
2019年に国立西洋美術館で開催されていたハプスブルク展も観てきたしこの映画もそうだが、ここまで豪華絢爛な美しいものを観せられるともはや没落することによって美を完結させなければならないと言えるほど魔物的な妖しさがある。
ただ一つ残念な点を言えば、イタリア語吹き替えではなく元のドイツ語で喋っているものを見たいなというのが本音。
ちなみに澁澤龍彦の『太陽王と月の王』でルートヴィヒについて書かれているが、そこでもいかにこの王が地に足のついていない夢想家だったかが分かる。