リタ

ルートヴィヒ 完全復元版のリタのネタバレレビュー・内容・結末

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

エピソードが一定テンポで進んでいくだけの
退屈な構成なのに何故か、見れる。
4時間あっという間。
俳優も衣装も舞台セットも全部美しいからかな。

弟可愛過ぎるな、
ヘルムートバーガーより魅力的かもな、
なんて序盤は見てたけど

ルートヴィヒは顔が青白く歯が汚くなってからが
いよいよ美しい。

若い頃のジョニデみたいなキレッキレの容姿。
ヴィスコンティの他の映画もどしどし見たいね!



好きなシーンは
俳優と城で2人はしゃいで、
興奮止まんなくてそのまま旅に出るとこ。
テンションの上がり方がキモくて愛らしい。

一週間も経ってんのにハイなまんまで
夜中に外出て
ここで独白やって!命令!とまで言ってんのに
俳優に もうやだ!疲れた!とか言われて
頼む!ってなってんの、笑っちゃったし悲しい。

人間失格のラストシーンみたいな変な笑い。


しかし主人公の凋落っぷりが
もっと悲惨に綴られたストーリーかと思っていたら
そこまでは感じなかった。

心の機微がわかる演出が多くないせいもある。

それにそもそも最初からルートヴィヒは
神父や寵臣に説教されてる弱々しい王様だったし
思い人にはなんとなく遊ばれてるし

唯一強く出れるのはママだけっていう
頼りない雰囲気だったから
終盤引きこもりでもそれ程意外性は無かった。

繊細な芸術オタクには
戦時中の国の主など無理だったってことなのかな。
可哀想に。

とはいえ、だろうな、って感じで見てた。


弟の戦争PTSDの方が悲惨よ。
責任感も強い子だったし。
お兄さんがブラブラ遊んでるせいで…

ルートヴィヒも弟のことはショックだったろうし
責任感じてたと同時に
同じようになりたくないって
心底恐怖してたようには見えたが。



そういえば中盤の神父のセリフがグッと来た

「貴方は神に愛されているが故に
試されることも多いだろう、
それを幾度も乗り越えてきたのでしょう?」的な。

前半は何じゃそりゃって感じの
ストイックなカトリック教徒のウルトラ解釈。
でも後半の優しさ。

ハッとしたように、でも虚ろに
「そうだ」と返す王の顔を見て苦しくなった



神を決して裏切るまいと性衝動を抑えこんで
人として、王として、清く正しくあろうとしてきた
自意識も強くて生き辛い毎日だったろう

その反動で
芸術に異常な執着を向けるように
なってしまったんだろうな

孤独だな。



ところでノイシュバンシュタイン城が
あんな近世に建てられた城だなんて知らなかった!
それが1番の発見かもしれない

史実と映画の内容とは
年代が違ってたり誇張されてる部分があるから
全部鵜呑みにはしないにしろ勉強になった。


ワーグナーの舞台シーン欲しかったな。
アマデウスほどたっぷりじゃなくても、ね。
家での演奏だけじゃ物足りなかった。
リタ

リタ