ゆうすけ

ルートヴィヒ 完全復元版のゆうすけのレビュー・感想・評価

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)
4.2
再見。ヴィスコンティの映画は、19世紀の長編小説のような時間感覚や空気が流れているような気がする。同世代の監督にはその雰囲気はまったくないんだけど、貴族出身ということが身体に染みついているような。この作品はその極め付け。4時間というもの、豪奢できらびやかで、退廃的な世界にどっぷり浸かれる。絵の美しさ、カメラワークの見事さ、衣装もあいまって飽きることがない。主人公に共感したいタイプの人にとっては少々ツラいかもしれないけど。
社会と関わり合いがあった前半と、繋がりを諦めてしまった後半では主役のヘルムート・バーガーの顔つきも卑しく、醜く変化していくのがいい。結末間際、オルゴールの音と共に、子供時代に戻るようなシーンもいい。夜ほど美しいものはない、か。
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