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ルートヴィヒ 完全復元版のmichiのレビュー・感想・評価

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)
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時間がある時にじっくり観たかった一本でした。4時間もあるんだもの、心身ともに余裕がないとなかなか気軽に観られるものではありません。
なくても話は成り立つであろう無駄なシーンがたくさんあったように思いますが、それも含めて狂王と呼ばれた人を観察できる贅沢な時間でした。

イタリア貴族とはまた違う、張り詰めた空気を感じるドイツのお城。ルートヴィヒの浪費ぶりもすごかったけれど、ヴィスコンティもこれを作るのにどれだけお金かけたんだろうと考えてしまう。ドイツの王族の暮らしはあんな感じだったのね。

いつも思うのは、ヘルムート・バーガーは病んでいくほどに魅力的。元々王には向かなかったようなルートヴィヒが、一時は責務を果たそうとしながらもどんどん壊れていく様が凄まじかった。

ワーグナーが、音楽室の肖像画そのものでびっくりした!ほんとそっくり!トレヴァー・ハワードはいくつかの作品で観ていますが、ワーグナーに似ているなんて思ったことなかったけどなー。俳優ってすごいな。
いろいろ難ありな姿が描かれたワーグナー、あんな人とは知らなかった。立派な人だと思っていたけれど、そうでもなかったのかな。あのビューロー夫妻との関係はドン引きだわ。素晴らしい作品に罪はないし、トリスタン和声なんて初めて聴いた時には鳥肌ものだったけれど…偉大な作曲家もクローズアップすれば一人の人間だってことですね。

せっかくバーガーはじめドイツ語話している人が多いのにイタリア語吹替だったのが本当に残念。病み行く王の演技はオリジナル音声で楽しみたかった。観られる機会があったらいいな。

観たら気になる人も多いかと思うのですが、当時の歯磨き事情ってどんな感じだったのかな…??
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