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私は彼女をよく知っていたのsonozyのレビュー・感想・評価

私は彼女をよく知っていた(1965年製作の映画)
3.5
スターになるのを夢見て地方からローマに出てくるアドリアーナ(ステファニア・サンドレッリ)の物語。

オープニングは、ローカルのビーチで、ビキニのトップスを外してひとり日光浴しているアドリアーナの姿。

彼女は小さな美容室を任されていたり(オーナはエロそうなオッサン)、映画館で座席案内係をしたり、家具屋の彼氏の車でドライブ中、ルーフに設置してあるソファに乗ったり楽しくやってる風。

芸能界に入るべく、ローマに越したアドリアーナは、タイプ打つのが遅い老人作家と、きな臭いタレントエージェントにダミーの経歴書みたいのを作ってもらい、業界に売り込むため金を払う。

しかし、そう簡単にスターになれるはずもなく、仕事も男もしょーもない展開が続いていく。

細かなエピソード毎に、アドリアーナの雰囲気(髪型、ファッション)が変わるので、様々なステファニア・サンドレッリの魅力が拝めるのが見どころ。

彼女の野心やどうなりたいのかが見えないままですが、有名俳優ロベルトを称えるパーティで、プロデューサーに撮られたニュース映画用のインタビューが悪意のあるイジられ編集されて上映されたり、ロベルトが友人バギーニに彼女のお持ち帰りを指示したりと、嫌なことが続き、夢や希望を失っていく。。

ラストが突然の悲劇なだけに、彼女が実家に帰った際の両親との重いやり取りや、ボクシングの試合の合間のファッションショーの仕事で野次られた後、負けた選手との心触れ合うシーンが沁みます。

落ち目の俳優バギーニ(ウーゴ・トニャッツィ)が、パーティで突然何かやってみてと言われ、テーブルの上でタップダンスで列車が発車しスピードを上げていくのを必死で演じるシーンも印象的。

タイトル『私は彼女をよく知っていた』は、アイロニーで、ローマに来たアドリアーナを深く理解する人は誰ひとりいなかったという意味と捉えられます。

※英語字幕にて

イタリア・ゴールデングローブ賞: 監督賞
イタリアフィルムジャーナリスト組合賞: 監督賞、脚本賞、助演男優賞(ウーゴ・トニャッツィ)
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