らんらん

或る剣豪の生涯のらんらんのレビュー・感想・評価

或る剣豪の生涯(1959年製作の映画)
3.0
秀吉が亡くなり1年、徳川の勢いが増す時代が舞台、豊臣方の侍兵八郎(三船敏郎)は剣の腕も立ち教養も充分だか、でかい鼻をもつ見た目が欠点
ある時、同僚の十郎太(宝田明)から恋のキューピットを頼まれ幼馴染でもある千代姫(司葉子)への甘い言葉の指南や恋文の代筆をすることに、、、

或る剣豪の生涯、いかにも時代劇っぽいタイトルでサムライ三船が見られるのかと思っていたら、意外なキャラクターだった
その見た目はもちろんのこと、こんなにペラペラと口が回る陽気な三船敏郎は見たことない、三船敏郎の出演作の中でも異質なキャラだと思う、その点では逆に収穫あったかと

ただ内容自体はあまり良くないかなー、特に後半関ヶ原以降の展開
新文芸坐で「無法松の一生」に続けて見たせいか、なんか似た話だなと、だからこその2本立てかもだけど
密かに想ってはいるんだけど最後の最後まで何もしない主人公
この作品の場合だと自分の見た目が醜いことで諦めちゃってる、こんな自分を好きになってくれるわけないって
あの三船敏郎がこんなキャラクターって何か似合わないなーと

良かったのは中盤の窓越しに司葉子と三船敏郎がお互いに雅な言葉での愛を語るシーン
愛を語り想いが通じても自分は姿を現せないつらさ、あそこの切なさが結構響く
司葉子もある意味罪な女を好演、イケメン好きなだけじゃなく中身も風流じゃないとダメ!みたいな感じで面白かった
あとは淡路恵子と若山セツ子、それぞれ見せ場はあるし魅力も出てはいるけど、正直いなくても特に問題のないキャラクターでなんか勿体無いなと

このストーリー、見たあと調べたら有名な戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」の翻案?であるとか、元ネタ知らないけどそれを何故か時代劇にしてみたっぽいですね

まあ言わんとしてることは同じなんだろうね
自分を犠牲にしても愛する人に幸せになって欲しい、それが自分の幸せでもあるみたいな理論?
でも実際はそうじゃなかったみたいな、この場合はそりゃそうだよねと

うん、つまらなくはないんだろうけど、、、正直途中ウトウトした、朦朧とする中頑張ったくらい
まあこれは朝から新文芸坐の三船敏郎特集3本続けてってのが厳しかった、その後の三船史郎氏のトークショーもあってか1本目から大入りで上映時間遅れたりと、なんか疲れてしまった、すいません

最後に、よくわからない知識を一つ
この特集って本の刊行記念でもあるらしく、その著者、この日のインタビュアーでもある高田雅彦氏が最初に見た映画らしい、この作品のエピソードとしてはよく噛まないなってくらい台詞の多かった三船敏郎が、その台詞の多さにキレて、監督の自宅の周りを稲垣バカヤローと叫んで回ったとか
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