horahuki

驚異の透明人間のhorahukiのレビュー・感想・評価

驚異の透明人間(1960年製作の映画)
3.0
天才金庫破り vs 超厳重な保管庫!

初ウルマー。金庫破りの天才ファウストが、政府の保管所にある核物質の強奪に挑む!そんなクライム映画のような熱いホコタテ展開も、「透明化」というスーパーパワーを使ってあっさりと片付けてしまうあたりが何よりも「驚異」な透明人間映画。60分弱でサラッと見られるのも有り難い!

核物質は透明人間を量産するために必要なもの。大量の透明人間兵士を生み出し、世界を牛耳ろうとする悪のオッサンが核物質を強奪させるためにファウストを脱獄させるところから物語は始まる。

透明化技術は既に完成しているのだから、別にわざわざ部外者を脱獄させてまで協力させるとかいう回りくどいことする必要なくない?警察にまで追われるんだし、リスク高くなるのに…😂

本作は50年代に量産された反核SF映画の延長線上とも呼べるもので、そこに透明人間のアイデアをミックスさせつつも、ホエール版『透明人間』から約30年という時の経過は特撮の進化という点では止まったまま(むしろ後退)なのが悲しい…😭

本作は同じくウルマーの『宇宙のデッドライン』と同時に2週間で製作されたものらしく、恐らくやっつけ的に作られたものなのでしょう。それでもコーマン製SFのように最低限を抑えてくるあたり抜かりない。後に酷い映画を揶揄う番組で紹介されたこともあるらしいのが笑える🤣

透明人間は社会規範というレールから脱落し人間性を剥奪された弱者的存在として描かれてきたわけで、「元に戻る」ことが非常に重要な意味を持っていた。その点、本作の透明兵士の量産というのは意味深で、人間性を剥奪された没個性的で機械のような集団を作り出すという意味では『玄界灘は知っている』とか『フルメタルジャケット』で描かれたような人間性を奪う「伝統的訓練」と本作の透明化の設定的意図はそう変わることはなく、題材の選択と主題の関連という意味では割としっかりしてると思う。面白くはなかったけど!🤣
horahuki

horahuki