るるびっち

ムーランのるるびっちのレビュー・感想・評価

ムーラン(2009年製作の映画)
4.4
実写版ディズニー『ムーラン』が女性を描いているとしたら、本作は人間ムーランを描いている。
見た目は女性としてバレバレなのだが、兵士はそんなことは気にしていない。なぜなら将軍として信頼しているので、それが男であろうが女であろうが関係ないのだ。
女性としてではなく、人として将軍に相応しいか否かを描いている。

ディズニー版が男性社会でいかに女性が生き難いかを描き、男性社会の中でも女性らしさを失わないよう、しなやかに生きる姿勢を示した。
それがアクションシーンでは、バレエや新体操のような動きで美しいが強いという表現だった。映画としては面白いが嘘臭さにも通じていた。

こちらのムーランは、女性としてではなく人間としての強さを描いている。
女性として、一人の男への愛から戦う勇気を失ったムーラン。
立ち直った末に、ただ一人の男だけではなく将軍として兵士全員を愛するように強く大きくなっていく。
無慈悲な敵により、目前で部下が残虐に殺される。
手も足も出せない無念な状況で、将軍を信じている部下たちは殺される時に歌を歌って心をひとつにする。
無力で歌うことしか出来ないのではなく、たとえ殺されても将軍を信じ仲間を愛する力を示す感動的なシーンだ。
そういった戦場の修羅場を経て、ムーランは性別を超えて「人間ムーラン」として成長する。
たった一人の男を愛することから、兵士全員、国そのものを愛する将軍に成長していくのだ。
そして国に尽くすため、個人的な愛を捨てる。
そこにあるのは、英雄としての「大将軍ムーラン」だ。

それにしても主演のヴィッキー・チャオは、菅野美穂に似てますな。小っちゃい所も似てる。
小さな巨人ならぬ、小さな大将軍💛
(次回予告でディズニー『ムーラン』と思ったでしょ?😜)
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