光

101日の光のネタバレレビュー・内容・結末

101日(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

退屈ではありますが味がある作品です。
テーマ性もしっかりしてるし深く考えると良い映画だったと気づけるような噛めば噛むほど味が出る系の作品。
まず本作の感想は2種類に分かれるだろう。
本作のテーマをしっかり理解した上での感想とそうでない場合の感想だ。
まずテーマをしっかり理解した上での感想から言わせてもらうと、戦争が始まっても日常にすがりつく人々に支持されたTV番組とそれらによって翻弄され生き残らされた人々をメインに描いているという点は斬新で非常におもしろい。
戦争における一般人の距離感が絶妙で成すすべなく失うだけの状況に唯一平常運転だったTV番組の存在という扱いが上手い。
それによって「どんな状況でも続けなければならない」という重圧に追い詰められる番組プロデューサーという人物が際立つことになる。
そして巻き込まれた番組参加者は戦争が起こっていることを知らされずに番組の企画を続けさせられる。
知らされていないからこそヤラセでもなく戦争前のリアルで平和な日常がそこだけに残っているのだ。
本来はこのように利用されて躍らされている側が得をすることはない。
だがTV番組参加者たちは日常を残そうという強い意志によって最後に唯一の生存者となる。
当人たちが望んだ結果ではもちろんないが結果的に助けられたのだ。
主人公の息子も含め助かろうと思っていた人たちじゃない人が最後に生き残るという結末がじわじわと響きます。
同時に戦争でも絶やすことのできなかった平和、それは視聴者たちの高い支持率によって起こった奇跡。
核攻撃を受けてもたったひとつの平和を守り抜いたという結末は本当に心に響く。
しかし残念なことは初見でこの作品の良さに気づきにくいようになっていることだ。
その理由は2つあり、1つは物語の構成が時間軸をバラして凝ったような見せ方をしていることにある。
『メメント』のような難解を拗らせたような構図は単純にわかりにくくストーリーに追いつけないものとなる。
そして2つ目はラストに来るべきインパクトをジャケットデザイン・あらすじ・予告編あらゆる方面から全力ネタバレしているクソッタレなマーケティングのせいで良さよりも先にツッコミが出ることとなる。
いかにして彼らは生き残ったか?がキモなのに世界大戦で生き残った者たちのサバイバルみたいな宣伝されてりゃ印象操作で悪評も出るってものですよ。
もちろん僕も初見では退屈でわかりにくい映画だと思ってましたし。
1回観た後にネットの感想やレビューを読みあさって2回目を観て本作の良さに気づけたくらいです。
それと同じことを一般の鑑賞者に求めるのはさすがに無理な話です。
最低限作品の内容が伝わる宣伝をしておくべきだった。
評価できる点があるだけに実に惜しい作品です。
光