イチロヲ

モスキート/血に飢えた死体マニアのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
家庭内暴力のショックにより唖者になった青年が、真の愛情を求めるうちに、死体愛好家へと変貌してしまう。自己を喪失している青年の粉骨砕身ぶりを描いている、猟奇サスペンス。実話ベースらしいが、詳細は不明。

喋れない主人公の一挙手一投足により、不穏な空気を作っていくスタイル。「鑑賞者の生理への挑戦」が機能しており、主人公の気持ちを汲み取ろうとする行為が、却って恐怖心を呼び起こしてくる。

倒錯者となった青年の奇行がエモーショナルに描かれており、「魂の抜けた人間を自分の傍に置きたい」という欲求の昂りが、しっかり伝わってくる。血液をチューチューしてからの恍惚の表情作りも素晴らしい。

死体処理を含めたスプラッター描写が拙く、抽象表現が微妙に下手っぴなため、困惑状態に突入してしまいがちだが、珍味としてはアリ。主人公が愛用するミニバイク(モンキーみたいなヤツ)とヒロインの死後硬直演技だけでも拾い物。
イチロヲ

イチロヲ