揺籠ふぃるす

魔人ドラキュラ(スペイン語版)の揺籠ふぃるすのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

輸出品ということでヘイズ・コード(当時のモラルガイドライン)の検閲を通さずに制作出来た本作、所々カメラワークなど差異があり観ていて楽しい。名前もスペイン語圏に変更、エヴァやルシアなど。

情熱的なラテンの演技演出がゆったりとしたテンポの中で、展開される。

米国版との相違をメインに書いていきます。

城へと向かう道中、原作にあった鬼火が燃えている。
地下霊廟でのドラキュラ伯爵の目覚め演出、米国より前の原産国英国での舞台化の際、奇術〈マジック〉を盛込んだ芝居が大いに受けたそうで、それを踏襲しているのかも。

馬を先導する蝙蝠、こちらを振り返るのがカワイイ。

扉開閉のポルターガイストも検閲の対象だったのか(神秘主義への懸念(コード言いだしっぺはカトリックの方々))こちらはたっぷり描かれる。

渡英の場面も違う。別映画を転用せずにオリジナル撮影。

霧にけぶるロンドンの街並みと花売の少女の場面をカット。

女性陣の衣装も扇情的で豪華だ。米国版は検閲対象だったろうと思われる。

ドラキュラの正体を鏡で見破った後、教授の前に躍り出てすがりつくレンフィールド。

"助けてくれ。僕の魂に救いを。お願いだ。
頼むから助けてほしい。あなたはとても強い人だ。今の僕は正気の沙汰ではない。”

強い面持ちで返す教授。
"分かったよ。まず君の知ってることを話せ。云々…”

ラストシーンへの伏線。

レンフィールドのご褒美、鼠の使い魔大量召喚。
ヨーロッパの民間伝承、ペストは吸血鬼が運んでくる。にちなみ、リアルに菌をバラ撒く鼠とイメージを同じくしたもの。

エヴァがフアン(ジョナサン)の喉に噛み付く、まさにヴァンプという言葉にふさわしいシーンだ。

墓地に響き渡る女性の断末魔、そこから出てくる沈痛な面持ちのヘルシング教授とフアン。ルシア杭打ち場面。

英語版と違い、吸血鬼化すると各個撃破が必要な設定。

ドラキュラの最期、断末魔も長い。

先に行ってくれと即す教授。

"レンフィールドとの約束を果たさねば”

身を寄せ合って階段を昇る2人。
レンフィールドの遺体の傍に佇み、見下ろす教授。これからするであろう杭打ちを匂わせ――

――fin
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