青二歳

キング・コーン 世界を作る魔法の一粒の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

5月くらいから夏にかけて旬のトウモロコシ。お菓子食べるより夏のおやつには最適。
なんとも好感の持てる作りのドキュメンタリー笑。お前ら仲良いな(°∀° )大学卒業した若者二人がアイオワへ引越し1エーカーの農地を借りトウモロコシを作ってみる。コーンスターチまで作ってみる(家で)。何故なら自分の食生活の大半がコーンに由来することを知って驚いたから。
撮影者(監督)いれて三人の企画なのか。ストップモーションでアグリビジネスの流通や近代農業の歴史を辿るのもなんとも可愛い。引越しから収穫までの1年間に、色んな人にインタビューを試み、コーンがいかに自分たちの食生活全般に関わっているかを辿っていく。ハンバーガーの牛肉、炭酸飲料の甘味、フライドポテトの揚げ油、すべてがコーンに由来している事を知る。

日本で完全牧草飼育は難しいだろうと思うから少し身構えてしまうが、今作でも畜産における穀物飼料について触れている。穀物飼料のため肥育が容易になったものの草食の牛には負担が大きいらしく、それに耐えられるようアメリカの抗生物質の70%が畜産用に使われ、牛は抗生物質入りの穀物飼料を食べているらしい。
また話は食生活にも進みアメリカの糖尿病事情にも触れる。炭酸飲料を1日1杯飲むかどうかで糖尿病のリスクが2倍ってすごいな。いや、肥満大国アメリカは日本人より糖尿病になりにくいのかと思っていた。一応国民病になってる様子ですね。

後半、1970年代に農業拡大を推し進めた農務大臣アール・バッツへのインタビューは面白かった。過剰生産を引き起こしたのではという批判に対し「これがアメリカの富の源である」という。GDPへの貢献のことかと思いきや、どうも加工品によって食費が安くなり(手取り16〜17%が食費らしい)、他の消費に回せることを言ってる様子。なるほどね。これを時間で考えると理解できる。確かに同世代で自炊できないモーレツリーマンorブラック勤めは忙しいといってほぼ外食orコンビニ飯だもんな…。確かに料理にかかる時間を経済活動に回してると思えばそれは経済への貢献だわ(土日休めるなら作りだめすりゃいいんだし料理できないそいつが単に馬鹿なんだけど)。

食のドキュメンタリーはプロパガンダ合戦なので恐怖をあおる演出をする作品も多い中、なんだかホッコリするドキュメンタリーだった。製作者には明確な問題意識はあるんでしょうが、それを押し付けない上手い作りです。しかしこいつら1年どうやって食ってたんだ…貯金切り崩したのか…( ・᷄ὢ・᷅ )
青二歳

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