藻類デスモデスムス属

ポゼッションの藻類デスモデスムス属のレビュー・感想・評価

ポゼッション(1981年製作の映画)
4.5
バイパス


会話の強度と、その影響の度合いは別物だ。久しぶりに浴槽にお湯を張った。肩までつかると「あ~」と声が出た。応えるものもないのでじっとしている。じっとしていると耳があるきはじめる。自分のものではない呼気に立ち止まる。天井の換気扇から流れでる、途切れることのない呼気だった。ときおり車が通った。浴室は外の音がよく聞こえる。しかしエンジンの音ばかりがよく聞こえる。耳を胸にあて心臓の音を聞くのとは異なるが、偏り方はそのようなものだった。ちょうど十字路に家がある。止まるほどではなく、みなアクセルを再び踏みこみ去っていく。その滑らかさで、今のはハイブリッドカーだと気づく。時折サイレンが聞こえる。近くに消防署がある。大きくなるのは一瞬だが、随分と残る。カットアウトすることもある。最近、ぼやが多い。くつろぎながら、ドア穴からひとけを窺うのと同じ程度には、耳が覗く。浴室は外のある部位と繋がっている。

むちゃくちゃおもしろかった。帰ってから辞書を開いて「えぐい」という言葉を探すくらいには。字義は、やはり間違っていなかった。アクは強いが、もったり感は全然ない。これは寓話だろうか。であるならば伝えようとしていることの殆どを理解できなかった(あるいは忘れてしまった)。そもそも直繋ぎされたという以外、何が起こっているかをあまり理解できなかった(あるいは忘れてしまった)。どうやらなにかを越えたらしいが、主要ななにか(忘れてしまった)が越えられなかったせいで、残されたのは肌触りのよい危険だけだった。なんてスタイリッシュな逆天城越え(越えてないのか?)。あらかた抉られ、さっぱりした気持ちで風呂からあがる。


〜おまけクイズ〜
Q. 親密そうに微笑みながらソファでとなりに腰掛けてるものなんだ