Eirain

ポゼッションのEirainのレビュー・感想・評価

ポゼッション(1981年製作の映画)
3.4
amazonさんのおすすめよりピックアップ。4Kリマスター版Blu-rayを購入して鑑賞。

内容も見ていなかったので、開始から「これは泥沼不倫映画だったか」と思いながら観ていたら、泥沼じゃなくてカオスな血みどろだった(笑)

夫マルクからの不倫追求に対して、驚きの論理破綻問答を繰り返す妻アンナのヤバさ、妻の訳の分からに言動に精神崩壊寸前のマルクのヤバさ、不倫相手であるハインリッヒのキャラクターのヤバさと、とんでもない人間模様を見せつけられて開いた口が塞がらないところに登場する、異形のクリーチャー。ああ、SAN値がゴリゴリ削られていく・・・。

男女間の愛憎によって生み出される"怪物"という設定、やはり思い出されるのはクローネンバーグ監督の『ザ・ブルード』。本作は、『ザ・ブルード』に更に政治思想を絡め、"神話(まあ邪神だな。。。)仕立て"に描いたような難解な作品。(息子の学校の教師ヘレンの位置づけすら、1回観ただけで分かる人なんて稀でしょうよ。)まあ、女優イザベル・アジャーニの迫真を越えた(?)演技等に彩られた圧巻の不条理劇を、口を半開きに楽しむのも乙ってもの。

見所満載な作品だが、個人的にはラスト、息子ボブが浴槽に飛び込んで俯せに浮かぶシーン。この表現方法には思わず「おお」と唸ってしまった。
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