とり

恐竜小僧(ジュラシック・ボーイ)のとりのレビュー・感想・評価

4.3
もんのすごい映画があったもんです。
こんな凄い映画の存在を知らずにいた自分が悲しいくらいの衝撃でした。
深夜映画ってーのは、ある意味期待以上のC級映画に出会えるところが好き。

C級と書いてはみたものの、本作については栄誉あるZ級の烙印を押してさしあげたい。
案外出会えないもんですよ、Z級なんて。
94年作ってことで、そこまで古い映画でもない。
当時劇場で観た人の反応はどうだったんやろ、って気になって調べたら劇場未公開だったらしい。そりゃそうや。

簡単なあらすじ⋯っていうかそんな大層なもの、ほぼないに等しい作品。
主人公は恐竜大好きな10歳くらい(え?)のクリフォード少年。
↑この説明だとどこにでもいそうな、ごく普通の男の子って感じですが、これがトンデモナイ!
クソガキという言葉をはるかに超越した、凄まじくむかつく子なんですな。
作品中でもお前は悪魔の子だ、ダミアンだ、などとののしられますが、まさにそう。
いわゆるイタズラっこってやつですが、このイタズラがもはやイタズラの範疇ではない。

ある日父の仕事の為、家族で移動中だったクリフォード一家。
少年のイタズラに困り果てた父は、ほとんど交流のない弟(少年の叔父)にわが子を押し付けて仕事に向かいます。
子供好きの恋人がいる叔父、点数稼ぎにイイかも!なんてホイホイ預かってしまうわけです、悪魔の子を…。
そしてここから叔父の人生および人格の崩壊が始まるわけ。

ちなみにダミアンクリフォード君を演じるのはどう見ても40歳は超えたおっさん。
七五三みたいなスーツを着こんで恐竜のおもちゃに話しかける姿は、嫌悪感を感じつつも一見の価値あり。
少年と叔父のノリというか掛け合いは、もしや⋯?と思った通りサタデーナイトライブ出身によるものでした。

観てる間中、奇妙な引き笑いしっぱなし(笑)
一寸先の展開が期待通りの壊れっぷり。いい意味というか悪い意味というか。
この奇妙な空気の漂う感じ、観た人でないとわからない。
観終わった後の居心地の悪さは何物にも代えがたい(笑)
キワモノ映画好きな人は死ぬまでに一度は観ておくべきでしょう。
でも二度は観たくない感じ。今でも日常生活の中でふと思い出してしまうヤバさ。
とり

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