チッコーネ

曖昧な週末のチッコーネのレビュー・感想・評価

曖昧な週末(1999年製作の映画)
3.0
アラン・マックの初期作で、ウォン・カーウァイ以降の香港ネオ青春映画な趣漂う。
とは言え撮影/脚本/演出ともに、伝統的な香港映画から地続く庶民感覚を多分に残し、馬鹿馬鹿しくも直截なユーモアを交えつつ、眠らない夜を生きるパーティ・ピープルを活写。
「秘密」への好奇が日常の虚しさを埋める鍵となり、次第に人生の目的へと変化していく…、そんな屈折したロマンティシズムを描き切る。

しかし希求の果てにある暴露は、ジム・キャリー主演の『エース・ベンチュラ』並みのトランスヘイト。
本作の当該キャラは少なくともバイセクシュアルで、異性の良き理解者に恵まれ制裁を受けることもないが…、今となっては企画時点でNGになること間違いなし、時代を感じさせる作品。

前半の主演を務めるマーク・ルイ(雷頌德)は、個人的に初めて観る役者だったがそれもそのはず、本業はミュージシャンで、香港では名うてのプロデューサー。
ケリー・チャンやアンディ・ラウら大スターに楽曲を提供し、ヒットに導いた実績あり。
しかしチェ・ウシクに似たベビーフェイスで、俳優としても魅力的だった。
彼も参加したOSTはすべてオリジナルのようだが、Alicia Bridgesの『I Love The Nightlife』を筒美京平ばりにパクった一曲もあり。