爆裂BOX

Mirror 鏡の中の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

Mirror 鏡の中(2003年製作の映画)
3.4
不審火による火災から一年、再開店を目前にしたデパートで奇怪な連続変死事件が発生。元刑事の警備責任者ヨンミンは自ら事件の真相を突き止めようとするが…というストーリー。
アレクサンドル・アジャによりハリウッドリメイクされた「ミラーズ」のオリジナルです。オリジナルの此方はリメイクとは大分内容違うようですが…
多数の死者を出した火災事故から一年がたち、再開を目前にしたデパートで社員が変死する事件が続発し、かつて人質に取られた相棒を死なせてしまったトラウマを持つデパートの警備責任者ヨンミンが事件の真相を追う内、隠された陰謀が明らかになっていきます。
オカルトだったリメイクとは違ってこちらはアジアらしい因果応報な心霊ものになっています。鏡がテーマなだけに鏡を使った演出が多く使われていますね。鏡に映った自分が違う動きをしたり、鏡に女の影が映るなどのシーンはベタながらゾッとさせられますが、それでも恐怖感はそんなに高くなかったかな。ホラー苦手な人でも見られると思います。怨霊による殺害シーンは鏡に映った自分がピザカッターで喉切ったりボールペン耳意に突き刺したりしますが、薄っすら血が出るくらいでゴア描写はほぼないですね。
どちらかというと変死事件を追う内に隠された陰謀が明らかになっていき、真犯人を追う刑事物のサスペンスドラマ要素の方が強いですね。真犯人はすぐわかりましたが。
主人公のヨンミンは相棒を救えなかったトラウマ抱えて、社長の命令もあって調べていくけど、終盤まではそこまで目立った活躍はしませんね。社長に解雇されて呑んだくれて元同僚に絡んだり、そんな惨めな自分への自己嫌悪から泣いちゃったりする情けない感じがユ・ジテにあってましたね。
社長で叔父役のキ・ジュボンも良かったですね。デパートの事を第一に考えて、甥である主人公も𠮟りつけてばかりだけど、最初叱った後にボタンとめてあげる所とか、終盤でデパートを訪れた主人公の前に現れて「すまなかったな」と言ってまたボタンとめてあげる所とか、文句言って叱りながらも家族としての愛情はちゃんと持ってたんだなとジーンとしましたね。ああいう状態になってデパートよりも大切な物に気づいたのかな。
終盤の真犯人との戦いは、真犯人しぶといし、みんな倒れたりしてそれまで割かし地味で静かな展開だたのが嘘のように中々カオスな感じでしたね。ガラスの破片目に突き刺したり、落ちてきたガラスで体が真っ二つになったりとここでちょっとしたグロ描写出てきます。
ラストはリメイクと同じですが、こちらはSF(スコシフシギ)な感じになってますね。病室での主人公とジョンヒンの効き手や写真で伏線は貼ってあったんですね。鏡の自分と対峙した時に「お前は俺だ」という鏡の自分に「お前は俺じゃない」と言った時が決定的な分かれ目になったのか。
全体的に地味で静かではありますが、サスペンス要素の強いアジアらしい因果応報な心霊物として楽しめました。