くもすけ

生れながらの殺し屋のくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

生れながらの殺し屋(1947年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

出来上がった映画は劇場外での事情に振り回されワイズをうんざりさせたようだ。ティアニーの飲酒暴行沙汰、コードの締付け、イリノイで起こった史上最年少の殺人事件との関連など。タイトルは公開後原作小説題に変えられたようで、主役はあくまでクレア・トレヴァー。リアルサイコティアニーの視線に引っ張られるまま堕ちていく逆ファムファタル。

友人の死体を見たものの通報を思い留まり、階段を登りかけて受話機に戻り切符を取って速攻で街をあとにするトレヴァー。相乗りして懐いたティアニーがあれよというまに弟になり、彼の言うまま殺害現場の記憶を呼び覚まされて燃えるシーンがいい。トレヴァーの目にはティアニーにはない戸惑いが巣食っており、これが雄弁を通り越して顎が外れたよう
飽くなき欲望機械ティアニーは悪びれもなくall is vanityと嘯き、トレヴァーを苛立たせる。トレヴァーは理知的に振る舞おうとして空回り、探偵スレザクが電話口で諳んじる箴言の言外まで深読みして墓穴を掘る。伝道の書からの引用がいくつか出ていてこのセリフも深読みできないこともないが、探偵が言いたかったのは「四の五の言わずに金払え」