もとまち

猟奇殺人の夜のもとまちのレビュー・感想・評価

猟奇殺人の夜(1980年製作の映画)
3.6
都市ビルを借りたと思しき殺風景な精神病院のロケーション。無機質な廊下、プール、エントランス。モダンなデザインがゆえの空疎さで暗鬱とした近未来を描く低予算ならではのセンス。前半は病院内をウロウロしてるだけでショットも緩いが、脱出劇が始まってからはSFノワール的でちゃんと面白くなる。夜、寒々しい無人のビル街を二人で彷徨うシーンの物寂しさ。ふたり手を繋いで、線路の向こうへとあてどなく歩き始めるラストの退廃美。思わず息を呑んだ。世界一美しいラストカットが、こんな所にあるのだとは思わなかった。チープな散文の中に息づく確かなポエジア。ジャン・ローラン、拙いながらも精一杯に詩を紡ごうとする青臭いひたむきさが本当に素晴らしい。あと出てきた女性が必ず全裸になる。
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