爆裂BOX

サブウェイNYの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

サブウェイNY(2009年製作の映画)
3.9
午前4時、独身最後の夜にマイクは仲間たちと地下鉄に乗るが、同じ車両に乗っていた女性客と問題児の兄トニーがトラブルを起こし、催涙スプレーが撒かれ、彼らは慌てて車両を降りるが電車は走り去ってしまう。次の駅まで歩いた彼らはそこで警官殺害現場に遭遇し…というストーリー。
地下鉄を舞台に凶悪な殺人鬼に襲われる男女の恐怖を描いたアクションホラー。
アクションの棚に置いてあるしジャケットや予告でも「地下組織」と言っているのでアクションだと思ってしまいますが、内容は地下鉄版「クライモリ」、または地下鉄版「ヒルズ・ハブ・アイズ」という感じです。
地下鉄構内を殺人鬼にひたすら追い回される単純なストーリーではありますが、追いかけてくる殺人鬼達の身体能力が高く、犬も使って追い掛けてきたりして結構ポンポンキャラが死んでいくのでハラハラさせられます。見た目は原始人の様なホームレスですが、言葉喋らず「ウガウガ」唸りながら凶器奮って追い掛けてくるのも怖いですね。
首チョンパや解体して内蔵などを犬のエサにしたり、レールで頭部半粉砕等グロ描写も頑張ってますし、戦うシーンも迫力がありました。特に兄トニーの廃駅のトイレでの殺人鬼二人との戦いとマイクの戦いを交互に見せるシーンは見応えありました。死んだと思った仲間が生きてて首チョンパされる寸前に目が開いて視線が合うシーンも何とも嫌~な感じを与えてくれます。
幼い娘を持つ青年ジョーの頑張りぶりとその死には結構グッとくるものがありました。トラブルメーカーな兄が弟の為に囮となって戦い、弟のマイクも兄を助けようとする兄弟愛要素も良かったですね。
スコット・アドキンスがチャラ男役で出演してますが、何と蹴りの一つも放たずX字切りにされた上に首チョンパされるという勿体なさ。
すくそばを電車が走っていたり頭上に人が行き交っているのに助けの声が届かない状況も恐怖を感じさせます。
地下鉄の線路のすぐ隣の空間に殺人鬼達の住処があったり浮浪者達の街の様な物があったりするのは荒唐無稽な様ですが、「モグラびと」というノンフィクション小説によると廃線になった地下鉄やトンネル、地下鉄の更に下の空間に大勢のホームレスが住み着いていた事例があるそうです(現在どれほどいるのかはわかりませんが)レール等を鉄パイプで叩いて合図を送るのも面白い。あの感じだとあの3人は飛び切り凶暴であの地下のコミュニティの王的な存在なのかな。
ただ、襲撃シーンにカメラをガチャガチャ揺らす撮影手法を用いているのは見づらくなっているので残念でした。ラストもありきたりな感じだったかな。
地下鉄で殺人鬼に襲われるという設定と最後まで殺人鬼の正体が明かされない所など「0:34」と似ていますがこちらの方が面白いです。
テンポも良くグロ描写も盛り込まれ、B級ホラーファンや殺人鬼物がお好きな方にはオススメの作品です。
しかし「ドリヴン」等に出ていた爽やかイケメンキップ・バルデューもこんな作品に出るようになったんですね。