horahuki

ヘレンに何が起こったのか?のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.7
究極的な一蓮托生

9月は爺婆⑮

ともに殺人を犯した息子を持つアデル婆とヘレン婆の仲良しコンビは周りからの冷たい視線と通りがかりの人からの斬りつけ、そして自分たちを責めるイタ電に耐えられずお引越し。心機一転名前も変えて頑張ろうと子役学校を設立し再起を図るも、ヘレン婆に異変が起こり始め…!

爺婆というには年齢的に微妙な気もするけれど、一応これでシメにします!多分、『何がジェーン…』構文のやつはコレで全部見た…と思う😅本作でイカれ婆を演じるのは『誰がルーおばさんを殺したか?』でもイカれ婆を演じたシェリーウィンタース。ジャケ左下の顔を見ていただければイカれ具合が伝わるはず!脚本は『何がジェーンに起ったか?』の原作、『ふるえて眠れ』の原作・脚本を務めたヘンリーファレル。この人も婆vs婆もの好きすぎぃ!😂

『何がジェーン…』『ふるえて眠れ』では同じく(多分)婆好きなアルドリッチと組んでたファレルだけど、その後アルドリッチはプロデューサーとして『何がアリスに起こったか?』を製作し、一方のファレルは『誰がルーおばさんを殺したか?』のカーティスハリントンと組んで本作を製作するという、かつての盟友が袂を分かった後もイカれ婆ものに勤しむ姿は何か熱い!!🤣

アデルは良い感じの男を見つけ、設立した子役学校も順調。一方ヘレン婆はただの白い布に死体を幻視したり、何でもない人の陰が自分を追い詰めるような錯覚をし、どんどん内に内に閉じこもっていく…。アデルの恋愛にも嫉妬し、自分は宗教にどっぷりハマって有難いお言葉を聞きながらみせる笑顔の病み方がエグい…😱

『誰がルーおばさんを殺したか?』の時もそうだったけど、シェリーウィンタースの狂気の演技は抑え過ぎず爆発させ過ぎずで絶妙!こういうヤバイ人いそうっていう変なリアリティがあるし、泣きながらの笑顔のグチャグチャな迫力が凄い!

この2人で過去と未来を対比させているんだけど、別人格とはいえ1人の人間の表裏を演出しているようにも感じられるし、そこまでいかずとも友人を超えた一蓮托生な関係性であることは間違いない事実。臭いものに蓋をするかのように「過去」を部屋に閉じ込め、寄り添うこともせずに、時折みせる帳尻合わせな対症療法でやり過ごすアデル。間接的な共犯関係から直接的な共犯関係への移行は崩壊の危険信号であること以上に2人の運命共同体的な関係性の強固さを実感させるもので、それに対してアデルの取った押さえ込みと突き放しは「過去」からの帳尻合わせという最大限の狂気を生む。

『何がジェーン…』構文の作品群はどれも面白くて良かった!やっぱり『何がジェーン…』が圧倒的だったけど、この面白さの安定感は本当凄いと思う。
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