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鏡の中の女のcyphのレビュー・感想・評価

鏡の中の女(1975年製作の映画)
3.8
ベルイマン、カラーの方が断然いいな こんなに薄緑やくすんだ赤がきれいな世界にいたんだ、てなる あとやっぱり白夜で最高 「明るいわ」「もうすぐ2時だ」ほんとうに空が白く明るいだけで昼の光とはぜんぜん違ってきれい 穏やかな狂気

相変わらず幼少期の家族関係のトラウマや性暴行の記憶が悪夢や発狂時の叫びとしてそのまま出てきてじゃじゃーんてなるやつ、あまりにまんますぎてうんざりするけどつまりはエヴァとか園子温とか観てるときのテンションで観てあげればいいんだってそろそろやっとわかった 絵がきれいで演技が迫真だから物々しいだけで別に内容が知的で大人びてるわけではない

冒頭のへんなパーティーや、夢の中の明るい部屋に動かない患者たちがすし詰めになってるシーンよかった「春はみんな狂うから忙しいの」 あと薬たくさん飲んだ後に低い鼻歌とともにじっくり壁紙やレースカーテンを映していくカットも素敵だった そう、そんなんでええんですわ それが映画にしかできない魔法だよ

あと原題はFace to Face 顔と顔を合わせてのもの そっちの方がラストにあってた 主人公と友人、主人公と娘、そして祖母と祖父 あんなに近く顔を合わせていながらも「鏡にうつってのもの」のよそよそしさを拭いきれない前者の関係と、愛という唯一の方法に行きついて見える後者のゆっくりとした動作
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