不在

鏡の中の女の不在のレビュー・感想・評価

鏡の中の女(1975年製作の映画)
4.6
人は1人で生きてはいけない。
月並みでありふれた言葉だが、事実だ。
他人こそが自身の輪郭を形作る。
自らを実存させる為には、自分自身を認識してもらう必要がある。
しかしその輪郭の設計図、つまり自己認識が間違っていては、人は歪んだまま完成しないのだ。
唇に触れてもらい、それを唇と認識すること。
腕に触れてもらい、それを腕と認識すること。
そうやって少しずつ自分を縁取ってゆく。
鏡とは、心の内面だ。
そこに自分だけでなく、他人も映さねばならない。
道が分からなくなったら、その鏡をのぞけばいいのだ。
不在

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