みんと

鏡の中の女のみんとのレビュー・感想・評価

鏡の中の女(1975年製作の映画)
3.8
久しぶりのベルイマン作品。
今作は“ホラーのよう“との前情報だけ頭に入れて鑑賞。

恵まれた生活を送っていた精神科女医(リヴ・ウルマン)が突然精神的な病いに陥り、はじめて絶望的な苦悩を経験。自己の精神に内包された傷(恐怖やトラウマ)に向き合い、受け入れていく過程を描いた作品。


いや~凄い!リヴ・ウルマン圧巻の演技!それに尽きる映画と言っても過言じゃないと思う。精神が崩壊していく彼女の姿は、よもやホラーを思わせる憑依の演技!
そもそもジャケが既にホラー味たっぷりだけど、登場する黒目の老婆なんかも、なかなかホラーチックで怖かった。

監督作品は数作観たっきりだけど、テーマは『仮面/ペルソナ』にも通じる。そして『叫びとささやき』で記憶に焼き付いてた“赤”が、今作ではリヴ・ウルマンの赤ずきん姿の“赤”で強烈に念押しされ刷り込まれた。

生と死と愛という人間の根源的な問題と苦悩。それらを主人公の患者や夫、両親との関係の中で見事に炙り出す。職業が精神科医である事も大きく説得力を加えていたと思う。

いずれにしても、精神を抉られる映画!
とんでもない演技を見せられる映画!
見事に演じるがあまり、ちゃんと憑依から解けるのか?
久々に演者(リヴ・ウルマン)の精神を心配してしまった作品でもあった。
みんと

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