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鏡の中の女のPinchのレビュー・感想・評価

鏡の中の女(1975年製作の映画)
3.4
最初のうちは興味深く観ていたが、自死を図り入院して以降は病状回復の都合のよいステレオタイプのように思われ、リアリティが稀薄な印象を受ける。人間誰しもその内面に幼少期から抱える痛みを抱いて生きており、それは予想もしない形で突然記憶に蘇り自分を苦しめることは珍しくない。誰の内面も深く不可解に拡がっている。通常、特に幼少期の心の傷は癒やされることなく永続する。簡単に片付くことなどほぼない。

原題(英語)は "Face to Face"(顔と顔が直接向き合って)。「鏡の中の女」とは、祖母、母、娘などのフィルターに映し出される自分自身の自我なのだろう。エニーは、それを自分の外に見る(=向き合う)ことによって正気を失い、それを正しく認識する(=向き合う)ことによって正気を取り戻すわけだ。
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