うめ

さらば愛しき女よのうめのレビュー・感想・評価

さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)
3.4
 私が好きなコーエン兄弟は様々なモチーフを使う。ユダヤ的な笑いやギリシア神話、そして最もよく表れているのがハードボイルド小説の影響である。「ビッグ・リボウスキ」はレイモンド・チャンドラーの作品に影響を受けたとか…そうしたらねぇ、気になりますよ、レイモンド・チャンドラー。そこで、たまたま今作が放送されていたので観てみました。レイモンド・チャンドラーの同名小説を映画化した作品。

 コーエン兄弟が影響を受けた小説家の原作が基だと考えながら観ると、確かにコーエン兄弟のストーリーに似ている。主人公がどんどん事件に巻き込まれていく展開。登場人物が出てくる度に、ややこしくなる話。人物設定の上手さ。色んな所がコーエン兄弟と繋がって、とても興味深かった。

 意外とあっさりとした結末を迎えるのだが、それまでの過程を楽しめる人には面白い作品なのかもしれない。私はミステリーやスパイもので、魅力的な登場人物たちが絡み合うストーリーは好きなので、そこそこ楽しめた。まぁ、主人公のフィリップ・マーロウの設定や雰囲気なんかがかっこいいのが一つ肝になっているのかもしれないが。

 あとはシャーロット・ランプリングの美しさ。あのちょっと冷たい眼が何とも言えない妖しさや美しさを醸し出していて素敵。また若かりしシルヴェスター・スタローンが端役で出演しているのも見所だろう。

 出来ればやっぱり原作の小説を読んでみたいと改めて思った作品だった。
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