ただのオモチャさ!
12月はクリスマス⑩
88年の『チャイルドプレイ』、89年の『パペットマスター』ヒットの流れに恐らく乗っかったのであろう『悪魔のサンタクロース』5作目にあたるドールホラー。ちなみに『ドールズ2』の邦題をつけられたテキトー邦題被害者『デモーニックトイズ』とは同期。
本作の副題『オモチャが殺しにやってくる』はサンタスラッシャー『サンタが殺しにやってくる』から引用しているのだろうし、「クリスマスまで開けないで」と書かれたプレゼントを開けてしまって大変なことになるのは『クリスマスまで開けないで/サンタクロース殺人事件』への目配せだろうし、邦題含めてごちゃ混ぜし過ぎ感がすごい。
前作の感想にも『ハロウィン』→『ハロウィンⅢ』の流れに近いと書いたけれど、本作を見る限りカーペンターが『ハロウィン』シリーズでやろうとして失敗したことを本シリーズが引き継ごうとする意図を読み取れるような気がする。カーペンターはもともとハロウィンをテーマに様々なホラーを作る予定で『ハロウィンⅢ』製作に至るも、マイケルマイヤーズ不在で顰蹙を買い失敗。
本シリーズも同様にクリスマスをテーマに様々なホラーを製作しようとする意図を感じる。ビリーandリッキーという本シリーズの殺人鬼は残念ながらマイケルほどのカリスマがないからいけそうな気もするけど、5作目で打ち止めなあたり失敗したのでしょうね…。そもそも単純に人気がなかった説!でも5作目の本作がシリーズで一番面白かった気がする😂
「クリスマスまで開けないで」と書かれたプレゼントを開けたパパ。すると中に入ってたボール状のオモチャが動き出し目の前でパパを惨殺。それがトラウマになり話せなくなった少年デレクはボールが飾られてる自分の部屋にも入れなくなり、ママと一緒に寝てる。そして一年後のクリスマス。街の中でオモチャが勝手に動き出す事件が発生。街には見慣れぬ男がウロチョロしだし、不穏な空気がデレクの周辺を包み込む。
『スモールソルジャーズ』みたいにオモチャの兵隊たちや戦車が発砲してくるのが可愛いし、生首がゴロン…って転がってくるところはオモチャなのか低予算特殊メイクのせいでオモチャに見えるけど本物ですよ?って言いたいのか即座に判別できないメタ的な戸惑いを提供してくるのも堪んない!そんで、カップルがヤッてる最中にオモチャの腕が参戦するとこサイコー!相手に触られてると勘違いしてお互いに悶絶してるのがマジで笑える。オモチャはテクニシャン!🤣
デレクくんともう1人出てくる可哀想な子どもを心的に同化させていく心の叫びへと物語を運んでいく脚本も手堅いし、露骨な『ターミネーター』オマージュまで披露するうえに最強に気持ち悪いピストン運動まで見せつけてくる狂いまくった遊び心も好き!これはシリーズ最高傑作では!