1798年、ちょっとした罪でバスチーユ監獄に投獄されてしまった侯爵。
独房での唯一の話し相手は、何と彼の巨大な性器・コランであった。
数あるマルキ・ド・サド関連の映画の中でも異色な1本。
登場人物がすべて動物として登場する人形アニメーションで、バスチーユ時代のサドを幻想的かつ悲喜劇的に描いた趣き深いベルギー映画。
題材からして決して子供向けではなく、立派なアート作品。
この作品は実写ではポルノにならざるをえないシーンを含みますが、擬人化した動物のパペットアニメーションにすることで、上品なユーモアに仕上げられています。
登場動物たちのていねいな描き分け、監獄の窓の外に降る雨の描写などよくできています。
乳房を震わせての牝牛の悶えなど、醜悪かつ魅力的な描写は芸術的だ。
そして主人公の話相手は自分の性器、コランくん。
この性器が実によく喋る。
口論になって「黙れ」と皮をかぶされちゃうシーンには笑った。
醜悪の極み、グロテスクな絵画をまくる様だが異形の魅力は抗い難く妙な愛おしさが残る怪作でした。