すず

ファウンテン 永遠につづく愛のすずのレビュー・感想・評価

3.5
聖書-創世記-の神話、エデンの園に存在した〝生命の木〟をめぐる、超然的歴史スペクタクル・ラブストーリー。

見上げる満天の星空を飛び越えて、超新星爆発的光の大放出に、降り注ぐ星屑、幻想的な光に包まれた壮大な愛の軌跡。

世界観に馴染むまで少し大変だったけど、ヘブライ神話とマヤ神話を織り交ぜた荘厳な世界観とストーリーを背景に、現代に生きる〝運命の2人〟を描いた物語はかなりの見応えで、本当にスケールがでかいラブストーリーだった。

神秘的な描写の高揚感たるや、まるでハイな幻覚を思わせ、禅や精神世界における悟りの境地のような強烈なイメージがある。そういった表現が愛の物語に美しく帰結していく異質性に惹き込まれる。

時間軸の捉え方が難解だけど、再見する度に発見と理解とツッコミどこも含めて愛着が湧きそう。

「死は畏怖への道」であり、「死は創造」であるというような、この類の死生観にはやはり惹きつけられる。インディアンの死生観の本を読んだ時も、死を〝祝祭〟としていた。死は単に〝無〟に帰す事ではない。そう信じることで保たれる平穏や秩序があったり、悲壮を和らげてくれる力がある。死をもって永遠の愛を手にする、というのも悪くない。
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