愛する人の死と向き合う話としては恐ろしいほどに壮大な世界観。
その世界観にはじめは少し戸惑いつつも、やはりこの監督はしっかり人間という主題からはぶれていないからかキャラクターに感情移入させられる。
難病もので幾度となく見たり聞いたりしてきたシチュエーションや台詞が、不思議とこの映画はちゃんと響いた。死ぬ覚悟を決めた妻に対して葛藤する主人公に入り込んで見ていた。「いや確かに辛いな」って素直に思えた。
この監督は相当ロマンチストだ。ロマンチスト過ぎて、三つの舞台が交差していくクライマックスは正直壮大過ぎて笑ってしまった。失笑という感じでは決してなく、あくまでしっかり感情はキャラクターと繋がりつつ、同時にあまりの世界観の大きさに笑いが込み上げてきた。出会ったことのないなんとも不思議な体験だった。