イチロヲ

ミミズバーガーのイチロヲのレビュー・感想・評価

ミミズバーガー(1975年製作の映画)
3.0
町の湖を管理している侘しい中年男が、埋め立てを推進している傲慢な市長から湖を守るべく、自身が育て上げたミミズを利用して返り討ちを企む。ミミズを使役することができる独り身オッサンの反権力闘争を描いている、ホラー・コメディ。

ゴキゲンな邦題が付いているが、「The Worm Eaters」という原題の通り、ハンバーガー要素はあまり登場しない。土地の立ち退きをめぐる闘争劇を悪乗り演出で描いていく路線であり、題名は「ミミズ人間」と名付けたほうがしっくり来る。

ミミズを食すシーンでは、本物のミミズを使用して、短いカットで口元を接写している。しかし、さすがに咀嚼まではしていない様子。ミミズを目の当たりにした女優の仰々しいホラー演技が笑える。

主人公の見窄らしいオッサンは、ミミズを我が子のように育てているブリーダーの立ち位置。独特な雰囲気作りに秀でており、ミミズ育成をアイデンティティにしている人間の悲喜が伝わってくる。とりわけ、ミミズと一緒にダンスするシーンに感涙を禁じ得ない。
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