深獣九

バタリアン リターンズの深獣九のレビュー・感想・評価

バタリアン リターンズ(1993年製作の映画)
4.5
これはすごい。ちょっと感動しちゃったよ……。

名匠ブライアン・ユズナ監督が描く、バタリアンであってバタリアンではないもの。今日はバタリアンデイで、1・2・3と続けて観たけど、まさかパート3がこんな作品だなんて思わなかった。愛を描く感動作になるなんて、とても想像できなかった。反則でしょ。

まず伝えたいのは、やはり監督のブレイン(発想力)。バタリアンというゾンビフォーマットがあって、それをどうしたら面白くできるのかを考えたのだろうけど、あの『死霊のしたたり』の監督がこれを思いつくなんて夢にも思わない。燃え上がる愛、そして戦争と人権。ふたつの柱が怒涛の展開で迫ってくる。

愛については自業自得だし裏切りもあったけど、正直ラストは感動した。パート1の感想でも書いたけど「愛する人がゾンビになってしまうとしたら、あなたはどうしますか?」 という永遠の問いにひとつの答えをあらわしたし、この美しい結末に涙さえこぼれた。

戦争と人権については、これはもうエグすぎる。ゾンビは人ではない? もちろんそうなのだけど、例えば実験用のラットが人の言葉を理解したり喋ったりしたならば、未知の薬品を注射されることはあるのだろうか。深く考えさせられるし、人間の深い業は因果応報にたやすくつながることを、あらためて肝に銘じることとなった。大義は必ずしも正義ではないのだなぁ。こと戦争に関しては。

そしてヒロイン ジュリーのゾンビ。史上最も美しいゾンビ。神ゾン美。演じるメリンダ・クラークの顔立ちや姿形がゾンビにピッタリはまるんだよね。ボディモディファイドモードでの登場は、息をのむほどの美しさ。辛そうな表情がまたそそるのよ☺️

ジュリーの恋人、カーティス役のJ・トレバー・エドモンドもよかった。芝居はやや大きいけれど、場面ごとの心情を表情や仕草でよくあらわしていた。特に川に流されたジュリーを探し求めるシーンは、とてもリアリティがありこちらの胸も痛んだ。登場作品はあまり多くないようだけれど、記憶に残る役者だ。

そのほか、息子を思う父親の心情もテーマのひとつとなっており、ゾンビ映画でこんなに詰め込んでいいの? と驚嘆した。しかも100分足らずの尺なのに、それぞれしっかり描かれている。ユズナ監督天才でしょ。
加えてグロゴアも満足レベルだし、もう崇め奉っていいですか?

すべてが完璧な本作。単体でももちろんいいけれど、『バタリアン』未鑑賞の方はぜひ123と順番に観てほしい。1で笑って基礎知識を身につけ、2で眠気と戦い、3で感動にひたる。この流れが最高。このために2をわざとこんなふうに作ったのではないかと疑っちゃう😆
超絶オススメ。
深獣九

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