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バタリアン リターンズのatomaのレビュー・感想・評価

バタリアン リターンズ(1993年製作の映画)
4.0
愛する者の死を受け入れられずに、彼/彼女を蘇生しようとした結果生じるあれこれを描くタイプの映画は、『デッドリー・フレンド』、『ペット・セメタリー』をはじめ、最近でも『フランケンウィニー』、『ラザロ・エフェクト』などが思い浮かぶ。
あまりいいことの起こらないプロット類型ではあるが、本作でゾンビとして蘇らされるジュリー(主人公・カートのガールフレンド)も、蘇らせたところで結局はゾンビなので、お腹が減って人の脳(『バタリアン』シリーズのお約束)が食べたくてしょうがなくなる。

『バタリアン』のもう一つのお約束として、ゾンビ化してもある程度理性が残るのだが、ゾンビと化したジュリーは、自傷(これがまあ痛そう)と自縛によってゾンビとしての本性を押さえ込み、恋人であるカートを守ろうとする。
この健気な努力の果てに、乳首を含めた全身をピアッシングした彼女のボンテージ姿は、ゾンビ映画の歴史に残るアイコニックなビジュアルだと思う。

映画としては、
サブプロットである父と子のドラマが、それなりに感動的である一方でカートの甘やかされ感を強調してしまってもいたのと、物語の中盤において、(今だったらマジカル・ニグロに分類されそうな)ホームレスのおっちゃん・リバーマンとの交流や、メキシコ系チンピラとの対立が主軸になってゾンビ・パニック感が薄まるのが気になった。

最後は自らの感染を悟ったカートがジュリーと共に、1のフランクと同じ選択をしてEND。"Rom Zom Com"なんて言葉が影も形も無かった時代の、純愛系ゾンビ映画の金字塔。(24/4/21)
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